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一次創作のファンタジー物語と日常を気分で書き連ねる、サイト兼ブログ

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偽りの兄弟、偽りの親友 

 

”子ども”の特権?


 発車前の音楽がホームに響くなか、カナトはウィンクの手を引いて電車を降りた。なんとなく視線が気になって振り返ると、若い母親が訳が分からないといった様子でこちらを凝視していた。

 はっとして、抑えた声で呼びかける。

「ちょっと!」

「ンー…」

 睡魔に打ち勝てないのか、ウィンクはうなりながら眠そうに目をこする。眠そうなのはこの際いい。カナトが頼みたいのは彼の足元の問題だ。発車していく電車の中から若い母親がこちらを目で追っているのもお構いなしで、カナトはつないでいるウィンクの手を乱暴に揺さぶった。

「ちゃんと足動かしてってば…!」

 若い母親が目撃したのは、青年が小学校入りたてくらいの子どもを引きずるようにして降りていった―はずなのにその子どもはスーツケースのようにするすると動いていった、という光景なんだからそりゃあ訳が分からない表情にもなる。

「めンどくさい……」

「…とりあえず改札抜けるまでは頑張ってよ。そこから先はもうおぶるから」

 カナトの言葉が聞こえているのか聞こえていないのか、ウィンクはカナトの言葉にかぶせる勢いで大きなあくびをかまして足を動かし始めた。

 あの若い母親以外には特に怪しまれることもなく改札を抜けることができたカナトは、歩きながらふねをこぎかけているウィンクをおぶった。立ち上がって、目の前に広がる景色に息をつく。

 降りた人の少なさから予想していたけれど、良く言えばのどか、悪く言えば寂れた駅前だった。

 そして、幸いなことにこの駅で一番有名なのはウィンクの言っていた病院らしく、とても分かりやすい位置に分かりやすい大きさの案内板が出されていた。

「道案内役になるはずの人は後ろで寝てるし…とりあえず行ってみるしかないかなあ」

 こっそり呟いて、カナトは歩き出した。




 案内板がこまめに立っていたおかげで、カナトはあっという間に病院に到着した。自動ドアをくぐって、病棟の受付へ足を進めた。

「あのー」

「はい、どうなさいました?」

 受付の看護師が顔を上げて、心なしか表情を和ませる。間違いなくカナトの後ろにいる”子ども”の寝顔に和んだのだろう。

「えっと、ここに入院しているって聞いてお見舞いしにきたんですけど……」

 マナに連れられて、研究所の仕様なら分かっているつもりだったが、病院の勝手は研究所とはまったく話が違うことをすっかり忘れていた。一瞬つかみあぐねたような顔をした看護師はしかし、さすがというべきか対応が早かった。

「面会ですね? お見舞いしたい方のお名前は?」

「中条圭太くんです」

 答えると、看護師ははっと息を吸い込んだ。カナトはあえて気付かないふりをしてウィンクをおぶり直しながら言った。

「クラスメイトです。弟もよく遊んでもらってて。僕だけ来ようと思ったんですけど、どうしても行きたいって言うから……」

「…そう……」

 看護師は寂しそうな面持ちでウィンクの寝顔を見て、カナトに向き直った。

「圭太くんは今個室に移っているの。病状は悪化してないんだけど…なんといえばいいのかしら…眠ったままなのよ……」

「えっ?」

 カナトが聞き返すと、看護師はさらに声をひそめた。

「本来だったら植物状態とかこん睡状態とか言うんだけど、病状は悪化というよりもむしろ落ち着いてきてる方だったから、そうも呼べない感じで…私もこんなことお見舞いの子に言いたくないけど、とにかく眠ったまま起きない不思議な状態なの……」

「そう、なんですか……」

 カナトは看護師からの言葉に神妙な面持ちで返す。内心は後ろで眠る彼に質問したいことが渦を巻いていた。と、不意に耳元で小さく震える声がした。

「…ケータおにいちゃん、死んじゃうの……?」

 カナトが驚くなか、看護師ははっとして思わず立ち上がる。

「そッ…!」

 思わず大きめの声が出てしまい、慌てて周りに目を配る。奥で動いている他の看護師とアイコンタクトを取る。立ち上がった看護師は感情を抑えるように静かに、ゆっくりと言った。

「そうじゃ、ないから、大丈夫ですよ? 病室へ案内しますねー」

 案内されたのは3階の、フロアのナースステーションも過ぎた、一番奥の病室だった。個室だからなのか、病室前でさえ広いスペースが確保されている。

「面会は夕方の16時半までです。帰る時はさっき通ったナースステーションで面会が終わったことを伝えて下さいね」

 少し申し訳なさそうにこわばった微笑みで一礼されたカナトは、少し気まずくなりながら会釈を返した。

 病室の扉に向き直ると、耳元でウィンクが低くつぶやいた。

「早く入っテ」

「入ったら聞きたいことが色々あるんだけど」

「時間があればネ」

 やりたい放題だなあ…。カナトはウィンクに急かされるなかため息をついて、気持ちを切り替えてから病室に入っていった。



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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
やはり寝倒してばかりのウィンクです。そろそろちゃんと起きてひと仕事してください。
カナトさんがかわいそうで申し訳ない限りですごめんなさい。。。

今のところ「魔法がすっからかん」と言いつつやってること:
・ずっと浮いてる
・姿を小学校1年生レベルに変える
・描写はないけど、実は死んじゃうのって看護師に訴えるとき目の色を世界観に合わせて黒に変えています

普通に考えたらなにもすっからかんじゃないね。浮いたまま変身したまま看護師を泣き落とすっていう、本当にシーズンオフのウィンクさんはタチが悪いです。性格も悪い。タチが悪い(大事なことなのでry

次回からウィンクのターンになる予定なのでもう少しお付き合いお願いします!!

category: ハネダさん宅

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