-I'm still here-

一次創作のファンタジー物語と日常を気分で書き連ねる、サイト兼ブログ

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寝起きの交渉 

 

…がんばります。


 結局パソコンの前で突っ伏して寝てしまっていた。朝の明るさだけではなく、部屋の照明による人工的な明るさが寝覚めの悪さにつながる。

 机から身をおこして、肩から落ちかけた掛け布団をあわてて掴んでから違和感を覚えた。こんなのかぶって寝たっけ……?

「おはようサン」

 声と同時に紫色の瞳が至近距離にあった。寝起きの頭には追いつかな過ぎて動きを止めてその瞳をじっと見つめていると、あっという間にその目は眇められて、すっと距離を取られた。

「食いしン坊くンの反応の薄さは知ってるケド、いくらなンでも寝ぼけすぎじゃナイかい?」

「……ウィンクリン・ハロウィン」

「毎度フルネームでドウモ。頭の方は起きた?」

 ウィンクが自分の人差し指で示しながら促してきた。うーんと曖昧な答えを返しながら、カナトは思い出した。

 昨夜道端で行き倒れのようになっていたハロウィンの魔法使い、ウィンクを保護したんだ。家主であるマナになんとか正体はバレずに済んだが、まさか家の中を妙な緊張感で過ごすなんて思ってもいなかった。

 カナトの様子を見守っていたウィンクだったが、飽きたのかふぅと息をつくと自分の格好に目を落としてぼそっと愚痴った。

「……ソレにしてももう少しなンとかならなかったのかなあ…」

「何が?」

 言葉が返ってきたことに顔をあげると、カナトが目をこすっていた。ウィンクが肩を落とす。

「地獄耳って知ってル?」

「知ってる。というか地獄耳だろうが違おうが、昨日の出会い頭から意味深なセリフを聞かされ続けてこっちは結構混乱してるんだよね」

「ふぅン?」

「すごい他人事」

 つまらなそうに視線を外しながら相づちを打たれて、つっこまずにはいられなかった。カナトが言葉を続けようと口を開くと、それより前にウィンクがおもむろに。

「……夢を見たンだ」

 口を開けたまま、再び頭にハテナを浮かべていると、ウィンクは自分に言い聞かせるように呟いた。

「高山台病院、中条圭太…」

「え?」

「高山台病院の中条ケータくン。知ってル?」

 くるりと振り返ったウィンクに問われて、カナトは身を引いた。

「いや、人間の友だちそんなにいないし」

「友だちいないンだ」

「言葉にトゲがある!」

 ウィンクはカナトの抗議をするっと流して、あらぬ方向に手を伸ばした。

「じゃあ、高山台病院のコト調べて」

「へ?」

 カナトは聞き返しながらウィンクが手を伸ばした方を見た。つけっぱなしのパソコンがある。ウィンクの言った意味を初めて理解して、しかし意外に思ってカナトは彼を振り返った。

「パソコンの使い方、知ってるんだ?」

「知らナイ。こないだ来た時ソレでトーバのコト調べてたカラ」

「えっ、あの時画面まで見てたの?! いつからいたのさ!?」

「うーン、トーバがあげたお菓子食べながらなンかぶつぶつ言ってたくらいカラ?」

「結構がっつり!」

 風が頬をなでるまで気配に気づかなかったのは彼の魔法がなにかしら影響していたんだろうけど、それにしてもここまで連敗しているとなかなか情けないものがある。

「ネー。調べてってば」

 ウィンクがしれっとせかしてくる。カナトはちょっと目を細めながらやけくそに嫌味を言ってみた。

「もー…、そんなに元気あるんならいつもみたいに飛んでって探した方が早いんじゃないの」

「聞こえてなかった? トーバは今ほとンど魔法がスッカラカンなの。ホントは今だってすぐ寝れるくらいなンだカラね?」

「すっからかんの割に寝ながら浮いてたけど?」

「ソレはソレ。コレはコレ」

 何が違うんだ。

 カナトが心中で大真面目につっこんでいると、ウィンクはあたかもその心を読んだようにじとっと睨んできた。先に言ってやる。

「なんだよう」

「なンも言ってナイでショ」

 まるで子供を相手しているみたいだ。ああ言えばこう言う。カナトがパソコンに向かってキーボードに手を置くと、ウィンクがあくびをした。

「ふぁぁ…。なるべく早くしてネ」

 カナトは手を止めた。なんだかいいように使われている気がする。キーボードから手をはなして、カナトはぼんやり気味のウィンクに向き直った。ウィンクがあくびを連発させて、口元を袖で隠しながらこちらに視線を向ける。

「…なに?」

「気が変わった。先に教えて」

「……。何を」

「全部。なんであそこで倒れてたのか、なんで魔法がすっからかんなのか、なんで突然病院のことを調べてなんて言い出したのか。分からないと僕も手の貸しようがないじゃない?」

「……」

 ウィンクは口元を隠したまま、カナトの目を探るようにじっと見つめてきた。カナトは視線を外さずしっかりとウィンクを見返した。

 少しの沈黙のあと、折れたのはウィンクだった。盛大にため息をつく。

「話したところでキミは半分も分からナイと思うケドね」

「それは聞いてから僕が決めることでしょ」

 譲らないからね、という意味を込めて返す。その様子を見て、ウィンクは改めて短く息をついて、諦めたように肩をすくめた。

「確かにキミもこないだトーバに趣味悪い話、聞かせてくれたしネ」

 言い方につっこもうとして、それはウィンクが伸ばしてきた人差し指で止められた。

「人間はネ、悪夢に支配されるコトがあるって話サ」



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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ひぃぃ、まだまだ続きます!
今更だけどなんで続きもののタイトルにしなかったんだろうと後悔しています。タイトルセンスが来い…!orz

特別ライフサイクルに決まったものがなさそうなイメージだったので、人に起こされると本格起動まで多少タイムラグが生まれるんじゃないかなと思ってつい勝手にこんな流れに……。違ったらすみませぬ。。

次のお話で今まで支離滅裂に吐き出された不思議要素をいくつか回収していきたいと思います。ウィンクの口から。


category: ハネダさん宅

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