-I'm still here-

一次創作のファンタジー物語と日常を気分で書き連ねる、サイト兼ブログ

魔法使いの不思議 

 

勢いで書きます!!(丁寧に!


 家主であるマナから言われた家賃というのは、人間ではないカナトの血を採らせてくれという一風変わったものだ。しかもそれは彼女から持ち出された条件である。その時はっきりと告げられた彼女の性質はマッドサイエンティスト。

 血が抜かれていくのをいつものように見つめながら、頭はフル稼働をしていた。落ち着けようとしてもハラハラが抜けきらない。

 いや、大丈夫だって。自分が素性を知っているから焦るだけで、今の彼の外見ならマナに見せたところで人外と思われない可能性の方が高い。……でももし目を覚ました場合、あの日本人離れした紫の瞳は危ないかも……。

 あんなに起きる気配がなかったんだから、このほんのちょっとの時間で変化が起こるとは思えない。大丈夫、大丈夫…。

 採血が終わり、注射の針が抜かれる。カナトは我に返りながら思い出して、マナにきいた。

「ね、やっぱり目、光る?」

「ああ」

 いつもと変わらずといった様子でこちらに一瞬視線を投げただけで、マナは慣れた手つきで器具を片付ける。カナトは最近になってマナに言われて気付いた「怪我を治すときは目が光る」というところがまだ実感できないでいた。

「鏡持ってくればよかった……」

 ぽろっと呟くと、マナが振り返る。

「私の言ったことが信じられないか?」

「ううん。そういうことじゃないけど、ほら、今まで知らなかったんだもん、自分でも見ておきたいじゃん?」

「…今日は興味深いことを言うな」

「えーそう?」

 カナトはおどけてみせる。それも見えたか見えないかくらいのタイミングでマナは背を向けた。

「続ける作業があるから、あとはよろしく」

「あっ。もし家出した子が夜中に帰るとか言い出したら、声かけた方がいい?」

「いや、必要ない」

「はーい」

 少しつまらなそうに返したが、内心ではほっと胸をなでおろしていた。

「じゃあ」

「うん。おやすみ」

 マナが帰ってきてからも作業があると言った時は、自分が部屋に入ったら話しかけないでくれという意味だ。それを知っていてあえて確認したのは、単純に今までなかったイレギュラーな状況だからというのと、もし知らせてくれとなったときにウィンクの協力が必要不可欠になるから事前に覚悟しておきたかったからだ。

 マナの後に続いて部屋の前へ行き、短い言葉を交わし、カナトはマナが部屋のドアをぱたんと閉めたあとに自分の部屋のドアを開けた。入るとともにくるりと身をひるがえし、ドアを閉めて額をドアにつけてため息をつく。ひとまず、よかったー……。

 気持ちを切り替えるためにも大きく息を吸って、部屋を振り返って、カナトは思わずその場でびくっと身体をかためた。

 寝かせた場所で、ウィンクが浮いている。しかし、姿勢は寝かせたときとそう変わってないのを見る限り、起きてはいないようだ。

 そろっと近づいて、腕を引っ張ってみる。風船のようにすーっと下におりてくる。表情を確認すると、やはり眠ったままだった。こっそり息をついてつぶやく。

「びっくりさせないでよね」

 ふに、と頬を人差し指でつついてみると、んん、とささやかに反応が返ってきた。起きるかと思って手をひっこめたが、ウィンクの行動はカナトの予想の斜め上をいった。

「………ね、……」

「うん?」

「……くヨ、だいじょぶだから……んん…」

 寝返りを打って背を向けられるなか、カナトはまたしても首をかしげた。

「だいじょうぶ…? って、なにが?」

 寝言? カナトはもう少し寝言が出てこないかとウィンクを起こしてみたが、もうウィンクは寝言を言いそうな反応すらしなくなってしまった。

 なんか、いまいち飲み込めないことが多すぎるなあ。

 ベッドからわずかに浮いたまま眠っているウィンクを眺めて、カナトは椅子に座りながら考えを巡らせた。

 噂が正しいのなら、10月以外の11カ月はずっと眠っているはずだから、眠たくてしょうがないとか、今みたいな寝言があったりとか、起こしても起きそうな感じがしないのは納得いく。

 でも、やっぱり魔法がすっからかんというのがいまいち分からない。カナトのなかでは魔法がすっからかんというのと、髪色がまっくろになっていることはなにか関係していそうな気がした。しかし、あのカラフルな髪色が彼のデフォルトだとしたらわざわざ変えていることになるから、そう考えると…まさかこっちが地毛? そもそもすっからかんなはずなのになんで浮きはじめたんだろう。もし魔法の力が回復してきているんなら、恐ろしく早い回復力だ。……まあ、回復力についてはあまり人の事言えないけど。

 寝言についてはもう深く考えることはやめようと決着をつけた。ハロウィンの魔法使いだから何か寝言にも意味合いがありそうな気がしてくるが、そこはもうこの見てくれだし、普通の人間の寝言と価値は変わらないだろう。

 考えている間、ウィンクはベッドからふわふわと浮いた位置で眠っている。その浮き方だけはオンシーズンの彼を思い出させてくれる。思わず苦笑がこぼれた。

「まったく、世話が焼けるんだからあ」

 この借りは味見で返してもらおうかな。

 カナトはウィンクの寝顔を改めて眺めてから、ウィンクに掛け布団をかけてやった。こうすれば物理的にも浮くのを少しは抑えられるし、何かの間違いでマナが入ってきても浮いてるのがバレる確率は低くできる…と思う。

 やれやれと息をついて、カナトはなにをするわけでもなくパソコンに向かった。睡魔がくるまで適当に時間つぶしをしよう。それまでにもしウィンクが起きれば聞きたいこともあるしね。


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ぴぃぃ、勢いにまかせて書きましたがウィンクが寝潰してるおかげでカナトさんの心理描写?ばかりでどうしよう考え方とかあれこれ間違ってやいませんかね……!(久しぶりのコラボで相当感覚が、、、

マナさんにはひとまず身バレ回避ができたようでほっとしつつ、もっと一般人だったら帰ってきたら浮いてる時点で驚きすぎてどったんばったんしそう。

category: ハネダさん宅

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