-I'm still here-

一次創作のファンタジー物語と日常を気分で書き連ねる、サイト兼ブログ

狐と天狗6 

 

全ての妖怪と相性が悪いとはいえ相手を知らないわけではないので、相手の情報を知ったうえで嫌だなあってなると思ったんです。


 テングにははしょって説明したが、実際の天狗はなんとも厄介な妖怪だ。ウィスタリアはゆるい段をのぼっていきながら、両脇で近寄るでもなくふらふらと動いているツタを気にしないようにしながら考えられることを整理する。

 この森にいる天狗は、厄介だ。

 その身に宿す力は強大で、自然と通うことができる。木々に触れればその声を聞き、大地に足をつけばその移ろいを感じ取れる。ただ、とても気まぐれで己の興味が湧いてしまえば善悪も関係なく様々なことをしでかす。森を燃やすこともすれば、人間を攫ったり殺したりすることだってあるのだ。しかもさらった人間を気に入れば、相手の性別や事情も気にせずそのまま自分の妻としてかこってしまうから自由奔放が過ぎる。もちろん、何かの拍子に飽きれば簡単に捨てたりもするわけだが。

 自分が存在する前のことを知る由はないが、一度村に帰っている村人たちが話していたことを覚えている。前は神隠しも多く森は危ない場所だったが、最近はそれもなくなって少し平和になってきた、これも村の守り神のおかげだな、と。

 神隠しを起こしている者と、守り神と称して絶大な感謝をしている相手が同一妖怪とは思いもしないだろう。

 ウィスタリアはため息をついて、ゆるく頭を振って思考をリセットした。

 問題は、今回興味本位で攫っていったのがテングという人間界のことも妖怪のこともなにひとつ分かっちゃいない世間知らずな魔族だということだ。魔族だというのに魔物に狙われたり、あれ自体が丸腰というのも奇妙な話だが、とにかくいざというときに何かができるという期待は到底できない。

 そうなるとテングの命運は、自由奔放で行動の読めない天狗の興味と機嫌にかかっていることになる。

 厄介な妖怪に攫われた厄介な魔族。

 最悪の組み合わせだ。

 この件が無事に落ち着いた時は……。苛立ちをつのらせていると、刀に巻きつこうとしているツタが視界の隅に入り込んだ。柄を握って刀を引き寄せながら、じろりとツタを睨む。

「斬ってやりましょうか」

 ツタがおずっと止まり、すごすごと引き下がっていく。勝手に募らせた苛立ちの行き場をくじかれた気分で、遠巻きにこちらの動きを気にしているツタを睨んだ。

「……腹が立っている相手に興味を示して近寄ってくるなんてどうやったら出来るんですかね…本当に……」

 まともな神経ではない。

 だが、これから会いに行く相手はそういう気質の持ち主ということだ。相性がいいわけがない。

 ロクな会話が成り立たなそうであれば実力行使で打破するしかない。嫌悪のため息を吐き出して、足を止める。

 …今回の面倒事についての詫びはどう払ってもらおうか。ウィスタリアは目の前に構える、ツタが作り出す奇妙なトンネルを見上げながらそんなことを思った。


< →続き >

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ごめんねウィスタリアさんがイライラしてるっていうことしか書けなかった、、、

category: 幻想世界絵文

tb: --   cm: 0

△top

コメント

 

△top

コメントの投稿

 

Secret

△top