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一次創作のファンタジー物語と日常を気分で書き連ねる、サイト兼ブログ

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狐と天狗5 

 

お待たせしましたウィスタリアさんのテング探しです


 黒い森に異様に映える赤い面を追っていたウィスタリアは、苛立ちを積もらせていた。こちらは地面や木の枝を伝っての移動しかできないのに、向こうは翼があるせいで行動範囲に制限がない。どんどんとその距離を離されて、遂にウィスタリアは赤い面を逃した。

 目の前にはまるで壁のような崖が立ちはだかる。赤い面を腰につけたテングは、その上をすっと行ってしまう。テングの消えた崖を睨み、崖を睨む。

 まるで来るなと言わんばかりに、登る手だてがない。せめてツタやら少しの凹凸があればまだなんとかいけたかもしれないが、そういうものも見渡す限り見当たらない。自然のくせに、やけに手入れがされているような状態にウィスタリアは苛立ちをこめたため息を吐き出した。

 仕方ない、迂回して崖の上に行けそうな場所を探すしか……。そう思った時、ふと視界の隅になにか動くものをとらえた。慌てて木の影に隠れる。

 息を殺してそっと木の影からうかがうと、黒い森に目立つ黄緑色の1本のツタが迷子のようにふらふらとうねっていた。

 これはどう考えても自然じゃない。ウィスタリアは木の影に隠れ直し、目をつぶり幹に後ろ頭をつけた。眉をしかめる。

 ツタを見てようやく、ウィスタリアの頭にふとひとつの仮説が降ってきていた。しかし、それが本当だとしたら気付くのが遅すぎだし、テングを追うのが非常に嫌になった。でも、下手をするとテングがこのまま二度と帰ってこれなくなる可能性があるのも厄介だった。

 改めて木の影からツタの様子をうかがう。ツタはどうしようといった様子でふらふらしながら崖に向かっていった。崖をのぼる手がかりがあるかもしれない。急がなければいけない展開に備えて構えながら見守っていると、予想を裏切るように、ツタは崖にすっと溶け込むように飲まれていった。

 ……うまくいかないものだ。

 渋々木の影から離れ、崖の前に立ったウィスタリア。しばらく息をつめて睨むように見上げていたが、おもむろに刀を抜いた。

 抜き身をそっと崖に当てて、ウィスタリアは目を閉じた。瞬間、ピーンと不思議な共鳴が頭に響く。目を閉じたまま、嫌そうな表情を浮かべる。

 共鳴の音が落ち着いてからまぶたをもちあげ顔を上げたウィスタリアは、嫌そうな顔でその場にたたずんだ。

 あったはずの崖は影も形もなくなっていた。

 かわりに目の前に広がっているのは黒い木々のあちこちに黄緑色のツタが巻きつき、ゆるい高さの階段の一本道の景色だった。

「……まったく、アンタって奴は本当に面倒事を起こす天才ですね……」

 一本道の両脇に控える、苔がついて朽ち果てた稲荷像を睨んで、ウィスタリアは誰に言うでもなく低く呟いた。

< →続き >

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ウィスタリアさんの本来はビビリ気質?を思い出して、不意打ちやらで咄嗟になると確認するよりも前に恐ろしい俊敏さで木の影に隠れちゃうとかあるといいなと思って書いちゃいました(おい

時系列的にはテング氏が意識乗っ取られて天狗様のところに連れて行かれてる最中ですかね。
まだギャグは始まってませんよかったね!(?)

category: 幻想世界絵文

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