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一次創作のファンタジー物語と日常を気分で書き連ねる、サイト兼ブログ

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狐と天狗 

 

瑠璃さん宅の幻想世界キャラ、ウィスタリアさんとのコラボです!
北西の森にいた時代のお話。


 魔族による人間界侵略は失敗に終わった。

 それから中心地による調査の結果、魔族は北西の街の北にある山から来たという仮説が立った。しかしこの仮説は単純な話で、北西の街までに広がっている森には他の森よりも多い魔物が出没するからだと他の町からは批判されている。

 しかし、北西の街の人々は批判せず黙っていた。

 その理由は、魔物の他にも不思議な存在が北西の森には多いのを彼らは知っているからだった。

「ウィスタぁー。このあたり前も来なかったかー?」

「ウィスタリアです。ちゃんと呼びなさい。念のための確認ですよ。なんです、飽きたなら帰ればいいでしょう。そもそもついて来いなんて一言も言ってないですし」

 藤色の髪をゆるくまとめているウィスタリアだと注釈をいれた者と、その後ろを黒い翼を羽ばたかせてついてくる者。黒い翼をもった者の肌の色は青白く、耳がゆるくとがっている様は明らかに人間ではない。そのまま藤色の髪の者を飛んで追い越し、行く先の岩にあぐらをかきながら着地すると、顔の左半分にかかっている天狗の面をはずして眺め、所々払うように触りながら言葉を返した。

「でも最近魔物なんか滅多に見なくなったじゃん」

「そうやって気を抜いていると……」

 言いかけて、口をつぐむ。何かを気配を感じてふと後ろを振り返る。

「……ウィスタ?」

 行動が気になって声をかけるのを無視して、ウィスタリアはひとつ息をついた。向き直って、人ならざる者の手元を見て逆に声をかける。

「それ、随分と気に入ってますね」

「なかなか憎めない顔してると思って。それにウィスタがくれたからな、大事にしてないと怒られそう」

「それをアンタにやったのは街の人間でしょうが。魔族は物覚えまで悪いんですか」

 そう、黒い翼をもった人肌の色ではないこの者は人間が恐れる魔族の1匹である。しかし何故その人間が魔族に贈り物をしたのか。それは少し前に初めて街へ行った時、魔族だと押さえつけられていたところ、街の人間のひとりが「魔族がたった1匹で人間の街にのうのうとやってくるわけがない。こいつはきっと森にいる守り神の天狗ではないか」と思ってもみなかった勘違いをしてくれたのだ。

 その勘違いは面白いことに街の全員を納得させ、無礼な扱いをしては罰が当たるとお詫びのもてなしをしこたま受け、街を出るときもあれやこれやと土産物を持たされて帰ってきたという珍事が起こったのだ。

 その沢山の土産物の量にあ然としていたところ天狗の面を発見し、それを気に入って身に付けているという状態だ。魔族はははっと軽い調子で笑い、面を着けながら言い返した。

「だったら透明人間のウィスタは覚えがいいのかー?」

「透明人間だからとかいう理由ではなく、個体の頭の問題です。アンタは見るからに頭弱そうですけど」

 皮肉とキツい物言いで返してやりながら岩の上の魔族を見上げる。魔族はこちらの言葉を聞いているのか、あらぬ方をぼーっと見つめていた。注意しようとして口を開きながら、ふと見えている容姿に思いつくことがあり、注意とは違う言葉を発した。

「なんならその面にちなんで天狗とでも呼んでやりましょうか?」

「――ん?」

 魔族は我に返ったように振り返り、聞き返してきた。ウィスタリアは短く息をついて、考え、頷きながら改めて言った。

「考えてみるとアンタにぴったりですね。天狗は守り神とも言われますが、災厄を招く異形ともいわれますから」

「守り神なのかよくない奴なのかどっちなんだ?」

「地域や言い伝えによっていかようにも捉え方は変わるというものです。まさにアンタじゃないですか。魔族なのに丸腰で魔物にも追われてるし、街に行けば人間に守り神として丁重にもてなされたんでしょう?」

「そう…だけど、こんなのがテングなんて呼ばれてもいいもんなのかな」

「アンタが名前さえ捨てたとか言うんだから呼び方がなくて困るんです。嫌なら何か偽名を考えて下さい」

「偽名なんてそんなすぐ思いつかないしウィスタが呼びやすいならそれでいいよ」

 さらりと。名前は強い言霊になるのに。そう思いつつ、きっとそんなことも知らないだろうしそもそも魔族にそんな心配が果たしているのかよく分からなくなってきたウィスタリアは沈黙をもってこの魔族をテングと呼ぶことにした。

 あっけなくテングと名付けられた魔族は、肩をすくめてあたりを見渡した。

「で? ほら、この辺に魔物は見当たらないぞ。もっと面白いこと探しに行こうぜ」

「呑気なもんですね……」

 返しつつ、確かにこのあたりには魔物の気配は感じられない。さっき視線のようなものは感じたものの、魔物のそれではなかったし、もしや人間かもしれないと思うとむしろここにいつまでもいるのは気が落ち着かない。

 少し周りの黒い木々の向こうを気にするように見渡して、1匹の魔族とひとりの妖怪はその場を後にした。


< →続き >

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
続きます。
ウィスタリアさんの口調や物言いが心配……。そして予想外のテングしの名付けシーンになりました。

category: 幻想世界絵文

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