-I'm still here-

一次創作のファンタジー物語と日常を気分で書き連ねる、サイト兼ブログ

同族の興味 

 

メトゥスの魔族界時代は日々戦闘だったわけですけども、その中でも人間型なのに強いということに興味をもつ魔族もいるわけで。


 魔族界にも常識のようなものはいくつかある。

 ひとつ、魔王は絶対。

 ひとつ、階級を凌駕することはできない。

 ひとつ、人間型はその身体に魔力を維持することが難しくすぐに消滅する。

 人間型に対する魔族の考え方は、ざっくり言うと「ひ弱」ってことだ。中級魔族で生まれてきても、そのほとんどが数日のうちに消えてしまう。己の魔力に潰されるのだ。

 そんななか、ある時からいきなり広まった噂がある。

 人間型の上級魔族がとんでもなく強いらしい。

 上級魔族となればその身に宿す力は大きくなる。それを内包して長くもった奴なんか見たことがない。

 もちろん、興味をそそられる。しかし興味のそそられ方は個体それぞれだ。ならば己の力で確かめてやろうという奴らが大半だ。面白いことに、そういう奴らが多ければ多いほど、人間型の上級魔族の噂は確実なものになっていく。他の上級魔族も何体か傷を負って帰ってきては、あいつはやばいと抜かすんだから笑えるもんだ。

 そうして遂に俺はその上級魔族の居場所を見つけることになった。

「ふぅん? 挑戦者がくるまでは結構呑気なもんだな」

「あ?」

 突然の声にひるみもせず、気怠い動きでこちらを睨んでくる。魔族界に点々と生えている、枯れた木に寝そべっていてはそこまでの迫力はない。奴が寝そべっている太い枝から幹をはさんで反対側の枝にしゃがんで改めて声をかける。

「お前だな? ロアルス・メトゥス・メサトニアって。あぁ別に居直らなくても戦う気はないさ」

 殺気をまとって起き上がってくるのを見て、からからと笑い飛ばした。エメラルドの瞳がしばらく睨んできたが、少ししてふと視線をそらして身体を起こすとぐっと伸びをするように4対の翼を広げた。その様子を眺め、呟く。

「4対か。そりゃあ強いわけだ。よく潰れないな」

「さっきからやかましい、戦う気がなくてもうるさければ消すぞ!」

 片手に尻尾と同じようなかたちの不思議な武器を構えている。

「お! それがお前の魔具か?」

「……なんなんだテメェ」

 殺気をものともしない上にことごとく調子を折ってくることにやる気をそがれたのか、肩を落として問うてくる。

「あ、悪いな。名前をいい当てておきながら自己紹介が遅れた。俺はウェリオ・メンダシウム・メルム。嘘を司ってる。お前のことは大体知ってるからそっちの自己紹介はいらないぜ強くて珍しい人間型」

 言った直後、バシャっと地面に倒し潰される。

「……俊敏だな、風も司ってるのか?」

「司ってるのは恐怖だ。色んな奴がテメェと同じことを言ってくる。理由はなんだ!」

 褐色の身体に耳は長めだが、その容姿は人間そのものだ。ウェリオは片眉を上げて答えた。

「お前、何も知らなそうだな」

「何をだ!」

「人間型は弱いっていうのが魔族界の常識だ。そこにお前がその強さをもって潰れる気配もない。色んな魔族が興味をもっておかしくない存在ってことだよお前は」

「弱いだと?」

「お前の話じゃねえよ。お前みたいな人間の型をした魔族全体の話だ」

 空いてる手でメトゥスの胸元を指さした。ばっと振り払われて、ウェリオは上体を起こした。自分の姿を見て、こちらを振り返ったメトゥスは目を眇めた。

「テメェだって似たような型じゃねェか」

「俺はサルとキツネで成ってる」

 メトゥスよりは指も細長く、振った尻尾は先が白い橙の狐そのものだ。メトゥスが黙る。ウェリオは不意に気付いて吹き出した。

「…気でも狂ったか」

「お前…! その体で嘘つけないタチなんだな!!」

「あ゛ぁ?」

 脈絡のなさにすごむが、ウェリオの笑いは止まらない。

「お前面白い奴だな! いや、噂を聞いてるときから面白そうな奴とは思ってたけど、ここまでとはね! はは、こいつぁ面白い!! 気に入ったよ!!」

「黙れサル! ぶっ殺すぞ!」

 魔具を構えるものの、もうウェリオには効きそうになかった。メトゥスの怒鳴りとウェリオの爆笑はしばらく止まらなかった。


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実力は確かなんだけど、こうやって書いてるとただの強がりのバカみたいに見えてくるなメトゥス……(おい

category: 幻想世界絵文

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